極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
翔琉さんがそんなことするはずがない。月乃の挑発に乗っちゃダメ。私は翔琉さんを信じなきゃ。

でも――。

体は正直で視界がぼんやりと滲んできた。呼吸しにくいのは、動悸のせいか涙のせいかわからない。

月乃が訪ねてきたあの日、翔琉さんが彼女とのやり取りを濁していたのは偶然?

あの日、もしも翔琉さんが月乃と連絡先を交換していたら。月乃と意気投合していたら。快楽に身を委ねたいと――愛し合いたいと思ってしまったら。

『やっぱりヤれる女がいいってさ。それだけ伝えたくて電話したの。早く実家に帰っておいでー』

ぷつりと通話が切れる。すでに意識が朦朧としていて、真っ直ぐ座っていられなくなっていた。

「お客さん? 大丈夫ですか? お客さん!?」

運転手の声が聞こえる。返事もできず、私はシートに体を転がした。

――息が苦しい。感覚が消えていく。

運転手はタクシーを路肩に停止させると、後部座席のドアを開け「大丈夫ですか!? 救急車呼びますか!?」と呼びかけた。腕時計がぴこぴこと音を立てている。

瞼の重さに抗えず、私は目を閉じ、そのまま意識を失った。



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