極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
その日の夜遅く。面会時間終了ぎりぎりに、珍しい人物が見舞いに訪れた。
ちょっぴり膨れっ面の月乃が病室におずおずと入ってきたのだ。
「月乃? わざわざ来てくれたの?」
仕事帰りなのか、勤め先のアパレルブランドの服を着ている。髪も巻いてメイクもばっちりで、先日とは別人だ。私と双子だと言われても、周りはわからないかもしれない。
せっかく来てくれたのに浮かない顔をした月乃に、私はなんて言葉をかけていいのかわからなかった。
「……翔琉さん、さっきまで来てくれてたんだけど、帰ってしまって」
「わざわざここまで来ておいて、星奈の恋人目当てなわけないでしょ」
苛立った口調であしらわれ「……そっか」と黙り込む。
私に会いに来てくれたのだとわかって、少しだけホッとした。
「ひとつ、伝えておこうと思って。この前のアレ、嘘だから」
月乃が早口で言い募る。いまいちピンと来なくて首を傾げると、痺れを切らした彼女に大声を出されてしまった。
「電話で伝えたやつ! ……あんな嘘で死なれちゃ、たまったもんじゃないわよ」
タクシーの中で『翔琉さんと寝た』と言われたのを思い出し、ああ、と納得する。