極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「気遣いは嬉しいけど、人を犯罪者みたいに吹聴するの、やめてほしいな」

苦笑する祇堂さんを置いて、武久さんが部屋を出ていく。

契約書の確認をしながらでは、リラックスもなにもないと思うのだが。

「契約書はあとにして、私も外していた方が――」

「いや、そこにいて。書類、すぐに確認するから」

言うが早いか、すっと眼差しを険しくして電子文書に向き直る。

小難しい説明がびっしり書き込まれた契約書数ページ分を、祇堂さんはものの二分で確認し終えてしまった。

彼の処理能力には脱帽する。疲労を感じさせない集中力。さらに――。

「オーケー。基本的に問題ない。この部分の書き方だけ確認してくれる? 回りくどい。意図があるなら明確にしてほしいと伝えて」

問題も見逃さない。精度まで高いとくれば、尊敬せずにはいられない。

「かしこまりました」

私たちの新社長は信頼に足る人物だ。この会社の輝かしい未来を期待せずにはいられない。

「さて。三分はあまったな」

「私は席を外しますので――」

「どうして君は俺から逃げたがる?」

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