極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「……いえ。運転、よろしくお願いします」

「ああ。任せて」

祇堂さんがゆっくりとアクセルを踏み込み加速する。

目的地へは一時間とかからず到着した。



山の上の温泉街。宿に向かう前に、古民家風の食事処で少し遅めの昼食を取る。

鍋にはかぼちゃと味噌が利いた甘くてコクのあるスープに、椎茸やニンジンなどの野菜とほうとうが入っている。

「熱っ」

あまりにもおいしそうなので気が逸ってしまった。舌がひりりと痛む。

「大丈夫?」

祇堂さんがお水の入ったグラスを取ってくれる。

「ありがとうございます。熱いけど、おいしいですね」

かぼちゃがたっぷり蕩けていて、すごくおいしい。

お水で舌を冷やしたあと、取り皿に盛ったほうとうを再びふーふーする。

ほうとうを見ると、入院していた頃を思い出す。

病院のご飯は簡素だったけれど、たまに出るほうとうはすごくおいしくて、私のお気に入りメニューだった。

「子どもの頃、ほうとうって大好きだったんです。当時食べたのもおいしかったけど、これはもっとおいしい」

「そう言ってくれてよかった。山梨まで来たかいがあったよ」

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