極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
彼のエスコートは加速するばかり。今だってこうして、手を繋いでくれている。彼の負担にならなければいいのだが。

彼はサロンに入ると、寝室を通り抜け和室に向かって歩き出した。

途中振り向いて、眉尻を下げてふわりと微笑む。

「好きでしていることに疲れたりはしないさ」

手にキュッと力を込められ、とくんと鼓動が音を立てる。

「疲れるどころか、張り切っちゃうよ。もっと甘えてほしいくらいだ」

なぜ? そんな思いを胸に覗き込むと、柔らかな眼差しがこちらに向いた。

「好きな人に頼りにしてもらえたら嬉しいだろ?」

今度こそ心臓がバクンと大きく鳴って、肩が震えた。好きな人だなんて――そんな紛らわしい言葉選びをするなんて反則だ。

「えっと……」

その好きは友人として、あるいは部下としてですよね? それとも……。

尋ねたいけれど尋ねられないまま、歩みを進める。

和室に辿り着くと彼は振り向き、熱っぽい眼差しをエスカレートさせた。

「それとも、これは一方的な好意かな。君は俺をなんとも思ってない?」

心の中で、まさかと繰り返し唱えてしまう。

祇堂さんは私に好きって言ってくれようとしている? 女性として?

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