極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
彼が顔をゆっくりと傾けながら、唇を開いて――。

触れ合う、まさにそのときだった。

ピンポンとどこか間の抜けた音が鳴り響く。私たちはキスの直前で固まり、目を丸くした。

「今、チャイムが……」

「ああ。たぶん、スタッフが夕食を持ってきてくれたんだろう」

腰に回っていた手が解かれ、ふたりの距離がいつも通りになる。急にすかすかして、自身の肩を抱いて小さくなった。

彼は気まずそうに頬をかく。

「お預け、くらっちゃったな」

「……ふふっ」

思わずふたりで笑い合う。

なんて残酷なタイミング。私たちのファーストキスを邪魔するなんて。

名残惜しい気持ちを抑え、ふたり揃って玄関に向かった。



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