極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
第五章 愛し合いたくて、愛し合えなくて
食事は山の幸をメインにした和風会席。華やかなお料理がテーブルの上を彩る。

メインは和牛のしゃぶしゃぶに鮎の塩焼き、山菜の天ぷら。

ほかにも湯葉のお刺身や玉葱のしんじょう、根菜が彩りよく盛られた八寸に、きのこや椎茸、茄子、フキなどの入った煮物椀、竹の子をたっぷりと使ったご飯やお味噌汁。デザートには特産のお茶で仕立てた抹茶ティラミス。

食べきれないほどたくさんのお料理をいただいて、これ以上の幸せはない。

お腹だけでなく、心が満たされた気がした。

「こんなに豪華なお夕飯は初めてです」

仕事上、秘書として会食に付き添い、高級なお料理をいただくこともある。

でも、今日のこれは別格。

旅館という特別なシチュエーションで、好きなものを好きなだけのんびりといただける。祇堂さんとふたりきり、おいしさに感動すれば分かち合える。

満足過ぎて思わずお腹を押さえると、彼がくすりと笑って食後のほうじ茶を飲んだ。

「俺も。こんなに楽しい食事は初めてだ」

おいしいではなく楽しいと言ってくれたのは、料理だけでなく私と過ごす時間に満足してくれたからだろう。

「私もです」

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