極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
これ以上キスをしたら私の体は耐えられず壊れてしまうかも、そう直感したとき、彼がゆっくりと顔を離した。

「ごめん、夢中になってた。寒かったよな」

私の露出した肩を撫で、彼が心配そうに見下ろす。

寒いどころか、体が火照ってたまらない。

「大丈夫です」と答えると、彼は私の上半身をゆっくりと起こし、脱衣所の棚に重ねてあったタオルを一枚持ってきて、私の髪を拭き始めた。

「あの、大丈夫です。ひとりでできますから」

顔がどんどん熱くなってくる。

軽くのぼせたのもあるけれど、彼にこの姿をずっと見られているのは恥ずかしい。なにしろ、バスタオルを軽く前にかけているだけだ。

さすがの彼も気づいたのか、若干頬を赤くして目を逸らす。

「外で待ってる。また具合が悪くなったらすぐ呼んでくれ」

そう断って脱衣所を出ていく。

私は体を拭き、軽く髪をドライしたあと、浴衣を着て脱衣所を出た。

ドアのすぐ脇に彼は立っていた。あまりにも心配そうな顔をしていたので「大丈夫です、もう元気ですから」と声をかける。

「こんなときになんだけど、浴衣、すごく似合ってる」

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