極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
ちょっぴり弱った甘い目で見つめられ、たまらず「ありがとうございます」と俯く。

浴衣どころか素肌まで見られてしまって、もうどうしたらいいか……。

「私、和室でお茶を飲んで休んでいますから。祇堂さんもお風呂に入ってきてください」

「俺はあとでいいよ。しばらくそばに――」

「もう倒れたりしませんから大丈夫です。それに私も祇堂さんの浴衣姿が見たいですし」

彼がふっと頬を緩ませ、私の肩を支える。

「わかった。でももしまた眠くなったら、ちゃんとベッドで眠ってて」

「わかりました」

うつむきがちにこくりと頷く。彼にお風呂を勧めたのは、気を遣わせないためでもあるけれど、顔を合わせているのが耐えられなかったから。

……一糸まとわぬ体を見られた上に、あんなキスまでして。ふわふわして、変な声まで上げてしまった。恥ずかしい顔も見られたに違いない。

「じゃあ和室で待っていてくれ。それと――」

彼は私を和室まで連れていくと、背後に回って耳もとに囁きかけた。

「星奈」

ドキンとして軽く飛び上がる。下の名前で呼ばれるのは初めてだったから。

< 92 / 267 >

この作品をシェア

pagetop