絶交ゲーム
幸いにも、校舎裏の見える2階廊下は調理室や科学室などの移動教室が多くて、早朝に生徒の姿はない。
それを見越して結を呼び出したのだ。

窓から下を覗いていると結がやってきた。
右手に手紙を持ち、警戒することもなく書かれた場所で立ち止まる。

その手紙には『大事な話があるから校舎裏に来て欲しい』と書かれていた。
相手は弥生からだから、結は必ず来ると思っていた。

私は結の真上に当たる窓をそっと開けた。
朝の空気が廊下に入り込んできて心地良い。

結はその場にバカみたいに突っ立って、来ることのない弥生を待っている。
どれだけ相手のことを信用していたって、ここまで純粋に信じるとただのバカだ。

だから、こんな目に遭うんだ。
心の中ですべての責任を結へ押し付けた私は……その頭上めがけてバケツを引っくり返した。

ザバッと音がして結の全身に水がかかった瞬間、私と詩子は身を屈めてトイレに駆け込んだ。
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