絶交ゲーム
肩が小刻みに震えていて、今にも泣き出してしまいそうなことがわかった。
クラスメートたちは突然始まった喧嘩に呆然としてしまい、誰も止めに入らない。

もちろん、私も詩子もただの傍観者だ。
つい、鼻歌を口ずさんでしまいそうになるのを必死で我慢している。


「でも……私だって我慢してた」


弥生が震えながら結を見る。


「なにそれ?」


結の言葉には棘がある。


「私と谷岡くんはずっと両思いだった! それがわかってたけど、あんたがいたから我慢してた!!」


ついに、爆発した。
弥生の両目からボロボロと涙がこぼれ落ちる。

中学時代から我慢してきた気持ちが、今ようやく実を結んで谷岡くんと距離が縮まろうとしているところなのだ。
結なんかに邪魔されたくないのは当然のことだった。

結の顔が真っ赤に染まり、なにも言えなくなった口は金魚みたいにパクパクと動く。
その姿が滑稽で、つい吹き出してしまった。
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