絶交ゲーム
「めんどくさ……」


思い出してまた呟いた。
詩子は自分の親から殴られたことはないという。

それが普通なんだろうか。
それとも、少しは暴力をふるう親の方が普通なんだろうか。

よくわからないけれど虐待というほどではないのだと思う。
いつでもどこでもキレているわけじゃないし、人格を否定されているわけでもない。

きっと、普通くらいの家に私は暮らしているはずだ。
でも……でも。

心の中にたまったヘドロをこれ以上増やすわけにはいかないと感じている。
長年蓄積しているヘドロは今やあふれる寸前だ。

受験生になってからそれが加速している。
どうにかしてこのヘドロを減らしていかないと……。

そんなことを考えていると校門が見えてきて、向こう側から詩子が登校してくるのが見えた。


「雛、おはよー!」


詩子はいつものように元気に駆け寄ってくる。
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