オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
「酔っ払いかな?としばらく様子を見ていたんですけど、それにしては体調が悪そうでしたので。貴方の好きな物がわからなかったので、とりあえずいっぱい買ってきちゃいました」

「……ありがとうございます」

さすがに悪いと思ってお礼を言った。この女、本当に何も考えていないのか。普通、ホームレスがいたら見て見ぬふりをするだろ。俺だってそうする。

いくら金銭面で困ってなくて余裕があっても、誰かを助けるなんてありえない。しかも、いきなり襲いかかってくるかもしれない相手を助けるかフツー。


「お前、バカなのか」

「え?」


「わ、わるい」

「いえ、いいんです。普段なら絶対目に入らないし、助けたりもしないんですけど……。貴方が助けてほしそうにしていたから」


「は?」

「生きたいって、そんな目をしていたんです」


ますますワケがわからない。

俺が生きたい?そんなこと、あるわけない。
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