オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
数年が経って、俺は市役所に足を運んだ。ここらへんで市役所といったら、ここしかないから。

もちろん、九条が他の県に就職しているという可能性もあった。それに市役所に勤めているかすらわからない。けれど、九条はここにいる気がした。


「オメガが市役所に用事?ダメに決まってるだろ。さっさと帰れ!」

「っ……!」

「うわ、汚ぇ!オメガ菌がついた!!」


入り口で門前払い。殴られ蹴られの暴行。その挙句、俺をバイ菌扱い。ひどすぎる。

九条にお礼を言いに来たのに、ただそれだけでも許されない。俺がオメガという理由で。

九条に出会って多少なりとも、俺の生活は変化したが、それでもオメガというレッテルは嫌でも付きまとう。


このままじゃ、九条に見てもらえない。お礼も言えない。だったら、もういい。九条に出会えない世界なら、こんな世界必要ない。

……俺が変えてやる。人を操るのは得意だし。今までずっと我慢してきた。けど、もう我慢の限界だ。


こうして俺はアルファ研究所に忍び込んだ。そのあとは簡単だった。アルファたちに催眠術をかけ、心を操った。そうして、アルファが最底辺だと世界に広め、アルファとオメガの立場は逆転した。九条は俺によって最底辺に落とされた。

九条、キミが最下層に落ちてもなお、明日を生きたいって思う?俺と同じ気持ちを味あわせてあげる。大丈夫だよ、心配はいらない。貴女が絶望し、命を経とうとしたとき、俺が救ってあげるから。貴女が俺を助けたときみたいに、ね。
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