オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
「俺が貴女を身体目的で拾ったかどうかは一緒に住む中で見極めてください。それと自己紹介が遅れてすみません。俺は(さざなみ)剛士(ごうし)っていいます。

世界が変わるまでオメガの俺は新聞配達やら交通誘導のバイトをしてました。今は小児科の……不登校の子供たちをケアするカウンセラーをやってます」


私を襲おうと思えばこの場でできたはず。それをしないのは私を本当に助けようとしてるから?

少しは彼を信用してもいいの……?


オメガの彼と仲良く出来るわけないって思ってる反面、ここで彼に気に入られなきゃ私は捨てられる。

一度は命を粗末にしようとしていたのに……。ここに来て一筋の光が差してるのに、それを無下にしてはいけない気がした。


「私はアルファで……九条(くじょう)美怜(みれい)っていいます。以前は市役所で働いてましたけど、今は無職です」 

自分で言ってて悲しくなってきた。


「美怜さんっていうんですか。
とても綺麗なお名前ですね」

「っ……!」

さっきまで泣いてたくせに……。笑った顔まで国宝級イケメンとか反則すぎでしょ。

見た目こそ女を口説くことを知らなそうな顔してるのに、実は女慣れしてる?


「これからよろしくお願いします。九条さん」

「よ、よろしく……」

こうして、私はイケメンエリートである(さざなみ)剛士(ごうし)さんに拾われた。
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