オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
一章
それから数ヶ月。漣さんは言葉通り、私に手を出してこなかった。外で生活していたときに、男に襲われて男性に苦手意識を持つ私に最低限しか触れることはなくて。

漣さんは私にいろんなものを与えてくれた。美味しい食事。綺麗な服。他にも必要なものを買い揃えてくれた。

私がリラックスして寝れるようにと、ベッドは私専用にしてくれて、漣さんは仕事で疲れているはずなのに、別室のソファーで寝ていた。

しかも、仕事まで紹介してくれると言ってくれた。けど、それはさすがに申し訳ないと断った。ここまで尽くしてくれて、本当に何も返さなくていいの?

そろそろ仕事、見つけないと、な。でも、アルファの私が働ける場所なんかあるんだろうか。だけど、このまま何もせず漣さんにお世話になるのは良心が痛む。
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