推しへの恋愛禁止令を出したのは推しの相方でした
その日から僕は何度も高台へ行き、歌い続けた。
誰も聴いてくれない日もあれば、立ち止まって聴いてくれる人がいる日もあった。
また僕はギターを持ち、歌う。
今日は僕にとっての救いの曲を歌うと決めていた。
心が折れそうになった時に何度も聴いていた曲を大切に歌う。
今日は人通りが少ない日だった。
夕陽に染まる街を綺麗だと眺めつつ、僕にとっての救いの曲を歌っている時だった。
僕の前に現れた女の子は悲しい瞳をしていた。
彼女は僕の方を見る。
そして彼女の瞳から涙が溢れる。
僕は驚き、彼女を見つめる。
そして優しく微笑みながら彼女に声を掛ける。
「良かったら僕の歌を聴いていってください。今ここにいるのは君だけだから、君の為に歌うよ」
涙を流している彼女の為に歌いたいと思った。
少しでも僕の歌が彼女の悲しみを和らげてくれるコトを願った。
彼女は小さく「...はい」と答えてくれた。
そして僕はまた歌い出す。
昔、両親に期待されなくなっていくコトを肌で感じ、孤独を感じている時に聴いた曲。
この曲は淋しい僕に寄り添ってくれると感じた。
僕を支えてくれたこの曲が、目の前で泣いている彼女の心にも寄り添ってくれたら良いと願いながら歌った。
そして僕は歌い終わり、一息つく。
「聴いてくれてありがとう。僕、この曲スゴく好きなんだけど聴いたコトあるかな?」
「...聴いたコトあります」
「スゴく素敵な曲だよね。『泣きたい時は泣いていいよ。その涙が悲しみを流すから』って歌詞が大好きなんだ」
僕の言葉を聞いた彼女の瞳から涙が溢れ出した。
泣いて、泣いて、泣いていた。
僕は彼女を真っ直ぐ見つめて聞く。
「どうして泣いてるの...?」
彼女は少し考え、そして答える。
「...生きる理由が分からなくなりました...」
彼女に何があったのかは分からない。
でもその気持ちは分かると思った。
何をやっても期待には応えられなくて、自分の価値はないと思ってしまっていた時があった。
何故生きているのか分からなかった。
でもそんな僕に生きる力を与えてくれたのは音楽だった。
「...そっか...」
僕の言葉は届かないかもしれない。
励ましにもならないかもしれない。
それでも彼女の涙を拭いたかった。
「じゃあさ、何かやりたいコトはある?」
「え?」
彼女は顔を上げる。
その瞳には満面の笑顔になった僕の顔が映る。
「やりたい...コト?」
「明日やるテレビを見たいとか、来月発売される漫画を読みたいとかそんな簡単なコトで良いんだ。これからしたいなぁって思ってるコトはある?」
彼女はまた考え、そして小さく呟く。
「...曲を...作りたい...」
「わぁ!曲作るんだ!スゴいね!」
僕と同じように音楽に触れていたコトに驚いた。
音楽の素晴らしさを改めて感じられて笑顔が溢れる。
「えっ...」
「やっぱり曲は良いよね!色んな想いを乗せられる。それにどんなに遠くに離れてても、会えなくても、音楽だったら聴いてもらえる」
「会え...なくても...?」
「うん!音は何処にいる人とも繋いでくれるって思うよ」
こんな道端で歌っている、何も知らない僕の歌声を聴いてくれる人もいる。
一度も会ったコトがないアーティストの曲に人生を救われるコトもある。
音は何処にいる人ともどんな人とも繋いでくれると信じていた。
「...空に...いるんです...聴かせたい人が...。聴いてくれると思いますか...?」
その言葉できっと彼女の大切な人が亡くなったんだろうと思った。
僕はまた真っ直ぐ彼女を見つめて言う。
「...音楽は空にだって届くよ。絶対、聴いてくれる」
僕の言葉を聞いて、彼女の表情は優しくなった。
「ありがとう...。やっぱり私...聴かせたい...。それに好きです...曲を作るの...」
「好きなコト、やりたいコトがあれば大丈夫だよ」
僕は彼女の頭を撫でる。
「生きる理由って見つけるの難しいよね。でもやりたいコトがある。それをやるまでは死ねないなぁって思うと生きられるんじゃないかなって思うんだ」
彼女を見つめながら、過去の自分を思い出す。
誰にも期待されず、心が折れそうになった時もある。
それでも僕はギターを弾くようになった。
音楽は僕に「やりたいコト」として存在し続けてくれた。
「死ねない理由を積み重ねて、生きたら良いんじゃないかな」
「そっか...そっか...」
彼女の瞳から涙が溢れる。
それでもさっきまでとは違い、その瞳には生きる気力があるように思えた。
僕は目の前にいる彼女を今も、これから先の未来でも元気づけたいと思った。
「また悲しみに囚われそうになったら、今日のコトを思い出して。それに未来では元気を出して貰える僕の歌を届けにいくから」
あぁ...僕は誰かを救いたかったんだ。
誰かを救う自分になりたかったんだ。
そう、思った。
「カナトっていいます。君が何処にいても僕の歌声が届くように頑張るね」
僕は手を差し出す。
彼女は僕の手を握り返し、笑顔で答える。
「ありがとう。応援してます」
その言葉が嬉しくて、僕は笑顔になる。
そして僕は彼女と別れた。
誰も聴いてくれない日もあれば、立ち止まって聴いてくれる人がいる日もあった。
また僕はギターを持ち、歌う。
今日は僕にとっての救いの曲を歌うと決めていた。
心が折れそうになった時に何度も聴いていた曲を大切に歌う。
今日は人通りが少ない日だった。
夕陽に染まる街を綺麗だと眺めつつ、僕にとっての救いの曲を歌っている時だった。
僕の前に現れた女の子は悲しい瞳をしていた。
彼女は僕の方を見る。
そして彼女の瞳から涙が溢れる。
僕は驚き、彼女を見つめる。
そして優しく微笑みながら彼女に声を掛ける。
「良かったら僕の歌を聴いていってください。今ここにいるのは君だけだから、君の為に歌うよ」
涙を流している彼女の為に歌いたいと思った。
少しでも僕の歌が彼女の悲しみを和らげてくれるコトを願った。
彼女は小さく「...はい」と答えてくれた。
そして僕はまた歌い出す。
昔、両親に期待されなくなっていくコトを肌で感じ、孤独を感じている時に聴いた曲。
この曲は淋しい僕に寄り添ってくれると感じた。
僕を支えてくれたこの曲が、目の前で泣いている彼女の心にも寄り添ってくれたら良いと願いながら歌った。
そして僕は歌い終わり、一息つく。
「聴いてくれてありがとう。僕、この曲スゴく好きなんだけど聴いたコトあるかな?」
「...聴いたコトあります」
「スゴく素敵な曲だよね。『泣きたい時は泣いていいよ。その涙が悲しみを流すから』って歌詞が大好きなんだ」
僕の言葉を聞いた彼女の瞳から涙が溢れ出した。
泣いて、泣いて、泣いていた。
僕は彼女を真っ直ぐ見つめて聞く。
「どうして泣いてるの...?」
彼女は少し考え、そして答える。
「...生きる理由が分からなくなりました...」
彼女に何があったのかは分からない。
でもその気持ちは分かると思った。
何をやっても期待には応えられなくて、自分の価値はないと思ってしまっていた時があった。
何故生きているのか分からなかった。
でもそんな僕に生きる力を与えてくれたのは音楽だった。
「...そっか...」
僕の言葉は届かないかもしれない。
励ましにもならないかもしれない。
それでも彼女の涙を拭いたかった。
「じゃあさ、何かやりたいコトはある?」
「え?」
彼女は顔を上げる。
その瞳には満面の笑顔になった僕の顔が映る。
「やりたい...コト?」
「明日やるテレビを見たいとか、来月発売される漫画を読みたいとかそんな簡単なコトで良いんだ。これからしたいなぁって思ってるコトはある?」
彼女はまた考え、そして小さく呟く。
「...曲を...作りたい...」
「わぁ!曲作るんだ!スゴいね!」
僕と同じように音楽に触れていたコトに驚いた。
音楽の素晴らしさを改めて感じられて笑顔が溢れる。
「えっ...」
「やっぱり曲は良いよね!色んな想いを乗せられる。それにどんなに遠くに離れてても、会えなくても、音楽だったら聴いてもらえる」
「会え...なくても...?」
「うん!音は何処にいる人とも繋いでくれるって思うよ」
こんな道端で歌っている、何も知らない僕の歌声を聴いてくれる人もいる。
一度も会ったコトがないアーティストの曲に人生を救われるコトもある。
音は何処にいる人ともどんな人とも繋いでくれると信じていた。
「...空に...いるんです...聴かせたい人が...。聴いてくれると思いますか...?」
その言葉できっと彼女の大切な人が亡くなったんだろうと思った。
僕はまた真っ直ぐ彼女を見つめて言う。
「...音楽は空にだって届くよ。絶対、聴いてくれる」
僕の言葉を聞いて、彼女の表情は優しくなった。
「ありがとう...。やっぱり私...聴かせたい...。それに好きです...曲を作るの...」
「好きなコト、やりたいコトがあれば大丈夫だよ」
僕は彼女の頭を撫でる。
「生きる理由って見つけるの難しいよね。でもやりたいコトがある。それをやるまでは死ねないなぁって思うと生きられるんじゃないかなって思うんだ」
彼女を見つめながら、過去の自分を思い出す。
誰にも期待されず、心が折れそうになった時もある。
それでも僕はギターを弾くようになった。
音楽は僕に「やりたいコト」として存在し続けてくれた。
「死ねない理由を積み重ねて、生きたら良いんじゃないかな」
「そっか...そっか...」
彼女の瞳から涙が溢れる。
それでもさっきまでとは違い、その瞳には生きる気力があるように思えた。
僕は目の前にいる彼女を今も、これから先の未来でも元気づけたいと思った。
「また悲しみに囚われそうになったら、今日のコトを思い出して。それに未来では元気を出して貰える僕の歌を届けにいくから」
あぁ...僕は誰かを救いたかったんだ。
誰かを救う自分になりたかったんだ。
そう、思った。
「カナトっていいます。君が何処にいても僕の歌声が届くように頑張るね」
僕は手を差し出す。
彼女は僕の手を握り返し、笑顔で答える。
「ありがとう。応援してます」
その言葉が嬉しくて、僕は笑顔になる。
そして僕は彼女と別れた。