ギター弾きの天使とデュエットを 両想いのその後 甘々番外編

『初デート』

「チャコ、今日デートしない?」
「デート……」


 きっと喜ぶだろうと思って提案したら、予想に反してなぜかチャコは黙り込んでいる。彼女のことだから飛び上がるほど喜んでくれるのではないかと思っていたから、ジャンは少なからず戸惑った。


「チャコ? デートしたくない?」
「私、ジャンとデートできるんだ……したい! したい、したい!」


 どうやら二人のデートがすぐには想像できなかったようだ。ようやく想定していた反応が返ってきて、ジャンはほっと安堵の息をついた。


「ふっ、よかった。じゃあ、デートしよう。どこ行きたい?」
「え、どうしよう……どこ行ったらいいんだろう?」
「チャコが行きたいとこでいいんだよ」
「だって、ジャンと行きたいとこいっぱいあるもん」


 『チャコが』ではなく、『ジャンと』と言ってくれることとがとても嬉しい。こんな彼女だから構いたくてしかたなくなるのだ。


「そんな悩まなくてもこれからいっぱいデートするんだから、今一番行きたいとこでいいんだよ」
「もう、またドキドキさせる……」


 チャコは照れた表情で少し顔を俯けている。ジャンがストレートに物を言うと、チャコはよくこの表情をする。しかも、口に出してドキドキするなんて伝えてくるものだから、かわいくてしょうがない。そのかわいさに自然と頬も緩んでしまう。

 かわいくて、かわいくて、彼女を撫でてやりたくなって、そっと手を伸ばそうとしたら、それよりも早くチャコは満面の笑みを浮かべながら、これまたかわいらしい望みを口にした。


「じゃあ、クレープ食べいきたい!」
「そんなんでいいのか?」
「うん。高校生のときにね、学校帰りに彼氏とそういうことしてみたかったんだよね」


 その台詞にジャンは申し訳ない気持ちになった。

 あのころから両想いなことはわかっていたのに、そんなささやかな願いすら叶えてやれなかったのだと。格好悪くてももっと自分をさらけ出しておけばよかったと後悔が募る。

 でも、それを今言ったってしかたのないことだ。今できる精一杯で彼女を幸せにしてあげればいい。


「そっか。じゃあ、チャコがやりたかったこといろいろやろう」
「ありがとう、嬉しい! じゃあね、一緒にぶらぶらして買い物もしたい」
「いいよ。じゃあ、準備して出かけようか」


 デートだからと気合を入れて準備をするチャコに、ジャンはこのまま家に閉じ込めておきたい気持ちが湧くが、それをなんとか押し込め、二人は初めてのデートに出かけた。

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