ギター弾きの天使とデュエットを　両想いのその後　甘々番外編
　手を繋いで、チャコの歩幅に合わせてゆっくりと歩く。チャコはずっとにこにことしていて、とても楽しそうだ。


「チャコ、楽しそうだな」
「うん。だって、初めてのデートだよ。私、今彼氏とデートしてる！」


　ジャンのほうを見てそんなことを嬉しそうに言ってくるものだから、ジャンは思わず足を止めて固まってしまいそうになった。


（あー、もうなんなんだよ。このかわいい生き物は）


　チャコは余程デートできることが嬉しいらしい。そんなチャコに、ジャンはいくらだってデートしてやる、どこへだって連れてってやると心の中で思った。きっと彼女となら何をしたって楽しいはずだ。


　ずっとご機嫌な顔で歩くチャコがかわいい。今すぐにでも抱きしめたい衝動に襲われるが、ここでそれをやると、さすがにチャコがキャパオーバーになるのはわかっているから、なんとか堪えながら歩みを進めた。


　そうして歩みを進めれば、目的のクレープ屋が徐々に見えてくる。


「俺、クレープ食べるの初めてかも」
「ええ！？　一回もないの？」


　チャコは信じられないものを見るような目でジャンを見てくる。


「記憶にある限りはないかな。おすすめ教えてくれる？　今日はそれ食べるよ」


　チャコは任せろと大きく頷いている。そんな姿もジャンにはかわいく見えてしかたない。とても幸せな気持ちになる。彼女といれば自分はこうも容易く幸せになれるのだと、ジャンは自分といる未来を諦めないでいてくれたチャコに感謝するばかりだ。

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