ギター弾きの天使とデュエットを 両想いのその後 甘々番外編
 それから間もなくして、別れの時間が訪れる。


「あの、今日は本当にありがとうございました。ギターの練習頑張ります!」


 たけるは改めて二人に礼を言った。本当に夢のような時間だった。


「うん! 次会えるの楽しみにしてるからね!」
「はい。僕も楽しみにしてます」


 社交辞令かもしれないが、それでもたけるは嬉しかった。これで本当に今日はさよならかと少し淋しく思っていたら、去り際にジャンがたけるを呼び止め、チャコには聞こえないように耳打ちしてきた。


「本当にありがとな。チャコ、喜んでた。俺も連絡待ってるよ。ま、適度な距離で付きあっていこうな?」


 ジャンのその台詞に有無を言わさぬような気配を感じて、たけるは思わずこくこくと頷いた。どうやらこの人のチャコに対する愛は、一般的なものよりも随分と重いもののようだ。絶対に逆らってはいけないとたけるの本能が告げている。少しばかりチャコが心配にもなるが、あの素直な人だからこそ、この人の愛に応えられるのかもしれない。

 憧れの気持ちは変わらないが、自分はごくごく普通の関係を築ける人間でいようと思った。そして、ジャンに目をつけられないよう、チャコとは適度な距離を保っていようと固く誓ったのだった。
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