ギター弾きの天使とデュエットを 両想いのその後 甘々番外編
「……はあー、もう、どうしてそんなかわいいわけ?」
「それも今は言っちゃダメ」
「かわいいって言ったらダメなのか?」
「……ダメ」
「なんで?」
「……なんでも」
「ふふっ、かわいい」
「もう!」


 ちょっと怒った顔をしているがそれすらかわいい。好きな子ほどいじめたくなるというのはこういう感情なのかもしれない。


「チャコがかわいいのが悪い。はあー、永遠に眺めてたいな」
「ジャンのいじわる」
「いじわるじゃないだろ? 愛しい妻に愛を囁いてるだけなんだから」
「……っ。もう無理っ」


 チャコは顔を真っ赤にして、目を潤ませている。限界が近いのだろう。


「顔真っ赤。愛しい妻って言われたの嬉しかった?」
「うぅー、ジャンのバカー。心臓がおかしくなっちゃったじゃん」


 チャコの表現がかわいくて思わず笑みがこぼれる。彼女の心臓は今、とてつもないスピードで脈打っているのだろう。


「でも、ちゃんと生きてるだろ?」
「ドキドキして苦しい」
「わかるよ。俺もチャコにかわいいことされると心臓痛くなる」
「ジャンも?」
「ああ」


 今だってかわいすぎるチャコに鼓動が速くなっている。だが、ジャンはそれすら心地いいのだ。


「私だけじゃない?」
「チャコだけじゃない。でも、俺はその感覚も好きなんだよ」
「苦しくない?」
「苦しいよ。それでも好き。チャコは?」
「……私も。家でならいい。ジャンで頭がいっぱいになるけど、それが嬉しい。いっぱいジャンに触ってほしくなる」


(だから、お前のその台詞のほうが破壊力高いんだよ……ったく、無自覚だから本当質が悪い)


 速まっていた鼓動がさらに速まる。耳の奥まで鳴り響いているのがわかる。

< 26 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop