浅蘇芳─asakisuo─
第二章 『あかりを知りたい』
~渡守 あかり~
今週も振出に戻り、月曜日が始まる。
学園祭が終わった週明け。二限開始のため朝はゆっくりできるし、いつも少し早めに家を出ていた。
数週間前、同じく二限開始の森高君と会い一緒に学校に行ったが、それからタイミングは重なることなく、今日も一人で校舎を目指す。これから梅雨を迎え、近日中にも雲行きが怪しくなるようだ。
あぁそうだ梅雨に入る、バイト……濡れながら自転車を漕いで行かなきゃなんだ……。
入学して丸二ヶ月、生活リズムにも慣れてきて、望む穏やかな日々を送れている。きっと満足に値する日常だ。