浅蘇芳─asakisuo─
第三章 『あかりに恋した』




~森高 朝都~

 八月中旬、バスと電車に乗って数時間。

 お盆に四ヶ月ぶり実家に帰ると、姉ちゃんの彼氏が来ていた。

 彼氏とリビングのソファに座る姉ちゃんは、本当に嬉しそうな笑みを浮かべている。

「わ、朝都久しぶり。あっ、紹介……するね」

 何も聞いておらず、最初は一体誰だ? って感じだったが、この男性は姉ちゃんと一年以上付き合っているらしく、それがもう本当にめっちゃくちゃカッコ良い人でビックリしてしまった。

「森高さんと笑顔が似てるね」

 “ココロ”という名前の姉ちゃんのことを、殆どの人が“ココ”って親しく呼ぶのに、この彼氏は姉ちゃんのことを“森高さん”って固い名字で呼ぶ。

 とても珍しいことだが、二人はすごく仲が良さそうで、落ち着いている良い雰囲気だ。





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