浅蘇芳─asakisuo─




「ね、O街に帰って来てから。楽しみが増えたのは……私もだから」

 全部受け取ってほしかったのに、持って来てくれたから一緒に食べれることになった。

 嬉しい……。

 誰? って感じだった森高君に対し、こういう風に思うようになるって、自分じゃないようだ。

 じゃあまたねって森高君と別れると、冷蔵庫の奥にソーセージのパックを大事に入れ、閉めた冷蔵庫に静かに背中を付ける。

 仲良くなりたいって言われるまで、今見ている世界は180度違ったのに。こんな自分と仲良くなりたいって言ってもらえて、友達が増えた私は一人心がジンと熱くなった。

 帰ろう、帰って戻ったら、次が待っている。




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