環くんは、フォーク化現象に悩まされている

環くんの声が途切れた。

私の口が塞がれて……は、いなくて。

ほっと一安心したいところだけど、まだ心臓は休まりそうにない。


私の左頬に、優しいぬくもりを感じる。

環くんの手のひらが、私の頬を包んでいて。

ゆっくりゆっくり、綺麗な顔が私に迫ってきた。


じりじりと近づいてきた環くんの唇が、触れそうで触れなくて。

まるで、じらされているようで。


もどかしくて。

触れて欲しくて。

恥ずかしくて。

全部ひっくるめて快感で。

キスを受け入れるように、私は自分の意志で瞳を閉じる。


環くんの吐息を感じる。

弾力のある唇が、私の唇に沈みこんでくる。


神経をマヒさせるような甘さが、注ぎ込まれて。

触れるだけのキスなのに、甘さの過剰摂取で意識が飛びそうになって。


唇に感じていた温もりが消えてもまだ、ふわふわとした幸せ沼を、さまよい続けてしまったのでした。





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