環くんは、フォーク化現象に悩まされている
図書室のカウンターの中。
椅子に座る私の手を頬にくっつけながら、幸せそうに夢の世界に浸っている環くん。
実はフォークなんです。
彼いわく、ちょっと特殊なフォークなんだとか。
環くんとの出会いは、高校の入学式の朝だった。
オシャレな制服をまとい
『地味なおさげ眼鏡とのアンバランスさが、恥ずかしすぎ』
オドオド顔をふせたまま、学園の門をくぐった私。
満開の桜の横を、通り過ぎようとした時
『キャー!』
『かっこよ~』
女子特有のはしゃぎ声が、大音量で聞こえてきて
『何事かな?』
首をかしげながら、私は顔を上げた。