【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜


 そう唱えた直後。十本の杖に宿る精霊たちが、オリアーナの持つ一本に集結し、虹色に輝き出した。

「ええっ!?」

 当惑に重ねる当惑。これにはマチルダもあんぐり。その光は、精霊が見えない普通の人たちにも確認できた。虹色の光は辺りに離散し、幻想的な森の風景の幻が見えた。小鳥のさえずりまで聞こえる。

「これは……すごいですね。長いこと教師をしてきましたが、初めて目にしました」

 生徒たちは皆感動していて、お馴染みのオーバーリアクションでオリアーナのことを持ち上げてくる。オリアーナが杖を机に置き直すと、精霊たちは役目を終えたかのように元の杖の場所に戻った。

(聖女の力って……すごい)

 席に戻る間、オリアーナは盛大な拍手を送られた。項垂れるように席に座ると、リヒャルドがからかうように言った。

「やっぱすげーのな。アーネル公爵家の逸材は格が違うぜ」

 彼はここにいるのがレイモンドではなく、出来損ないと言われる姉の方だと分かって言っている。

「からかわないでください」
「はは、悪い。この調子だと、レイモンドに席を譲ったあとであいつ苦労するだろーな。無駄に期待値が上がってて」
「……まだ平凡な学生生活を取り戻す可能性はある……はず」
「諦めろよ。お前はそういう星の元に生まれたんだから。偉大な次期聖女殿?」
「…………」

 オリアーナははぁと大きくため息をついた。
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