【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜


「ありがとう。大切に読ませていただくよ」
「はい……!」
「手が震えている。すごく勇気を出してくれたのかな?」
「はい……っ。そうです……っ」
「ああもう、泣かないで。嬉しいよ。頑張ってくれてありがとう」

 キャロルは目を潤ませながらこちらを見た。ジュリエットも、「よかったですわね」と微笑みかけた。どこか軽い足取りで去っていくキャロルを尻目に、オリアーナが申し訳なさそうに眉尻を下げた。

「きっとあの子も、私を男だと思って好きになってくれたんだよね。騙してるみたいで……いたたまれないな」
「違いますわ」

 一も二もなくきっぱり言う。

「好きになる気持ちに、性別も年齢も、身分だって関係ありません。あなただから、みんな好きになるのです」
「…………!」

 オリアーナは美しい金の瞳を見開いた。それから、ふっと目を細める。

「そうだね。私もジュリエットのことが大好きだよ」
「…………」
「ジュリエット?」
「もう一度、おっしゃっていただけますか」
「うん? ……大好きだよ」

 ぶるぶると身体を震わせた。次の瞬間、床に崩れ落ちて頭を抱える。

「ふぅぅっ。レイモンド様が尊すぎてわたくし、身が持ちませんわ。ああ……これがわたくしの人生のゴールデンタイム……。はぁ、はぁ、耳が幸せ……。耳が妊娠しそうです……」
「ちょ、ばか。声が大きいってば」

 困ったように笑う彼女を見ながら、ジュリエットは思った。

(レイモンド様のことや聖女のお力の覚醒のこと、わたくしの想像を絶する重いものをお抱えになっている心中はお察しします。でも、わたくしは、いつでもオリアーナ様の味方ですからね。いつもあなたのことを、心にかけておりますから)
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