ヴァンパイア王子と秘密の甘い独占契約
ああもう、どうして?


何でこんなことになっちゃってるの?


午前中は誰もこの子達みたいに気付いた人はいなかったはずなのに……。


あっ! もしかして――!


「ねえ、桧山(ひやま)さんはどう思う?」

「えっ⁉」


いきなり女子グループの1人に話をふられて、思わず肩がビクッとはねた。


ううっ、タイミングが悪すぎる。今、ちょうどこうなった原因がわかったところだったのに……。


「う、うーん……? さ、さすがにそれはないんじゃないかな……」

「だよねー! 漫画であったら、面白そうだけどね」

「う、うん。そうだね……。あっ。私、先生に呼び出されてたの思い出したから行くね!」


ボロが出る前に、早くここから離れなきゃ!


私は、自分でもわかるぐらい引きつった愛想笑いを浮かべたまま、一目散に教室から逃げ出した。
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