軽率に恋 - 冬の線香花火 -
知っていて誰も誘おうとしないどころか、〝一人でやってるよ〟なんて話題にもならない。
何で何も言わない?
社会に出る一歩手前の歳で、気遣いとか周りを見るとか、そういう能力ないの?
「トイレ行きたいから」
薄情さにイラッとして、敢えて冷淡に。
女の子の顔も見ずに、絡められた腕を振り払った。
視界の端で誘いを断られた失望と、
俺がこれから何をするのか分かったのか、呆れの顔ぶれが見えた。