モノクロの僕と、色づく夏休み

第11話「途絶えた連絡」

 病院に搬送されたあいつは、そのまま掛かりつけの地元の病院へ入院した。

 あいつの両親がしばらくして挨拶にやって来たが、親御さん曰く、あいつは心臓が悪かったらしい。

 病名は長たらしくて忘れてしまったが、手術を受け、何とか持ちこたえたらしい。

 何度も何度も、頭を下げるあいつの親御さんの姿を見て、オレはいたたまれなくなった。

 もっと早くにあいつを下山させていれば、こんなことには、ならなかったんじゃないだろうか?

 そう思うと、あいつの親御さんと、顔を合わせるのが辛かった。

 当の本人のオレの態度が、そんなだったせいだけではないだろうけど、オレの親の転勤と、あいつの家の引越しなんかも重なって、しばらくやり取りしていた連絡は、だんだんと途絶えて行った。

 その次の夏、祖父母の家に帰省すれば、もしかしてあの日のように、ひょっこり会えるかもしれないなんて、少し期待していたが、あいつと再会することはなかった。

 そしてまた夏が、繰り返しやって来る……。


つづく
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