【SS】忘れていた彼との再会は、甘い溺愛の始まり

初めましての彼と、結婚の約束をしました。





久我(くが)くんへ。お話があります。今日の昼休み、屋上へ来てくれると嬉しいです。青木(あおき)由香(ゆか)より]




 高校2年生の夏。

 私は今朝(けさ)初めて、告白をするための手紙を、好きな人の下駄箱(げたばこ)に入れた。


 風に吹かれて、スカートがゆらゆらと ゆれる。

 とく、とく、とく、と速い鼓動(こどう)が、胸の奥から聞こえてきた。


 …はぁ。緊張(きんちょう)する。

 ちゃんと告白、できるかな。


 金網(かなあみ)越しに見る空は青くて、白い雲がもくもくと山のような形を作っていた。

 昼休みになって一番に屋上へ来たから、からっぽのお(なか)がきゅるる、と音を立てて思わず手を当てる。
< 1 / 13 >

この作品をシェア

pagetop