【SS】忘れていた彼との再会は、甘い溺愛の始まり
初めましての彼と、結婚の約束をしました。
[久我くんへ。お話があります。今日の昼休み、屋上へ来てくれると嬉しいです。青木由香より]
高校2年生の夏。
私は今朝初めて、告白をするための手紙を、好きな人の下駄箱に入れた。
風に吹かれて、スカートがゆらゆらと ゆれる。
とく、とく、とく、と速い鼓動が、胸の奥から聞こえてきた。
…はぁ。緊張する。
ちゃんと告白、できるかな。
金網越しに見る空は青くて、白い雲がもくもくと山のような形を作っていた。
昼休みになって一番に屋上へ来たから、からっぽのお腹がきゅるる、と音を立てて思わず手を当てる。
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