お飾り王妃は華麗に退場いたします～クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね？～【極上の大逆転シリーズ】

「いや、どうだろうな……今のオリヴィアなら正当な扱いをするよう要求しないかもしれないな」

　そう、オリヴィアはただ結婚しただけではない。彼女の振る舞いで、両国の間に戦が起きかねない状況で嫁いでいったのだ。

　オリヴィアはその状況を知っている――だとしたら。

「すべて、飲み込んでしまうだろうな」

　妹には、信頼のできるふたりの侍女をつけてある。どちらも優秀な侍女だ。彼女達に任せておけば大丈夫だと思う反面――。

「オリヴィアを名ばかりの王妃にするなんて、グレゴールはどうかしているんだ」

　ルークの言葉にも、実感がこもっていた。オリヴィアは美しく、聡明だ。彼女を得られたのに、お飾りの王妃にする必要があるだろうか。

　――だが、それは。

　ある程度年を重ねて――というには、ルークもエーリッヒもあまりにも若いが――経験を得ているからこその考えかもしれない。オリヴィアと同じ年頃の少年には、彼女が逆にまぶしすぎるかも。

「ちょっと行ってくる」

「行ってくるってどこにだよ！」

「あの国に決まってるだろ。オリヴィアの様子を見てくる」

「――おい！」