お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 こうなったルークを止められる者はいない。ルークの側近達に叱られる未来が容易に想像できて、エーリッヒは頭を抱え込みたくなった。

「待てってルーク! いきなり行っても会えるわけないだろ――手を貸してやるから!」

 こんな時のために、事前にウィナー商会の人間をあちらの国に潜り込ませてある。こうも早く彼らを頼ることになるとは想像もしていなかったが。

 ルークをひとり、ストラナ王国に放り込むよりきっとはるかにましな手をうってくれることだろう。商会長の息子に、なんとか支店長となってもらったのだから、そのくらいはどうにでもなるはずだ。

 

 * * * 



「……さすがね」

「さすがですね」

「感心してしまいます。側によろうとは思いませんが」

 最初に感心したのはオリヴィア。同意したのは、エリサである。マリカだけはちょっと様子が違っていた。

 三人は、離宮のバルコニーでお茶を飲んでいるところだった。視線の先では、若い侍女達が若い男を取り囲んでいる。

 その取り囲まれている男というのが、ダミオン・ウィナーであった。

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