お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 洗顔をすませたあとの顔を拭くためのタオルを差し出しながら、侍従がそう口にした。今のルークは、いい顔をしているのだろうか。

「……そうだな、そうかもしれない」

 いい顔かどうかは自分ではわからないけれど、身体中に力が満ちているような気がする。オリヴィアを取り戻すための力だ。

(オリヴィアの顔が見たい)

 使い魔と意識を同調させることができると言っても、鳩の視界を通すのと、自分の目で見るのとは違う。

 困ったような笑みを浮かべるオリヴィアを抱きしめてやりたいと願っても、鳩の翼は抱きしめるには短すぎる。

 

 * * *



 皇帝が帰国すると、ストラナ王宮はひとまず落ち着きを取り戻した。もっとも例外はある。グレゴールとヴェロニカが暮らしている一画だ。

 今日はグレゴールに同伴させられる夜会がある予定なので、支度の前に少し散歩をしようかとオリヴィアが庭園に出てきたところで事件は起こった。

「……あら?」

 目の前をヴェロニカが歩いている。というか、護衛騎士と歩いている。

(ずいぶん見目麗しい護衛ね)

 遠目に見ても、護衛の顔立ちが調っているのはわかる。

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