お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
(討伐期が終わったら、ルークのご両親にご挨拶に行って、それから王都に行くのかしら? 伯父様にお目にかかるのも久しぶりだし)

 イリアーヌ国王との再会にも胸が高鳴る。伯父である国王には、幼い頃からずいぶん可愛がられてきた。年に一度は王都まで赴き、親族の時間を過ごしてきたほど。

 花嫁衣裳は、母が使っていたものを使わせてもらおうか。少しデザインは古いけれど、とても品質のいいドレス。

 両親は熱烈な恋に落ちて結婚したから、母が父に嫁ぐ時には、それはもう気合いの入った支度をしたらしい。

 一度保管してあるドレスを見せてもらったけれど、真っ白な美しいシルクに、職人達が施された刺繍がびっしりと施されていた。

 刺繍には白い真珠があちこち縫い付けられていて、どこから見てもため息が出るほど美しかった。

 母のドレスを借りよう。そうしよう。きっと母もドレスを貸してくれるだろう――なんてうきうきと考えながら歩く。

 頭をふわふわとさせたまま父の待つ書斎に入ったけれど、そこの空気が思っていたものとはまるで違うのに困惑した。

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