お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
第八章 あなたの愛など、望んだことはありません
グレゴールとケイトについて決着がつくまでの間、ルークとオリヴィアはこの国に滞在していたが、ついに帝国に向かう日がやってきた。

「オリヴィアお義姉様、いえ、もうお義姉様とは呼べませんね。最初からお義姉様でもありませんでしたし」

 シェルトが悲しそうな表情になった。オリヴィアはシェルトの肩にそっと手を置く。この二年、シェルトと深く関わりあってきた。どれだけ努力を重ねてきたか知っているから、グレゴールと半分血がつながっていても、シェルトを憎む気にはなれない。

「いいえ、殿下――いえ、もう陛下ですね。陛下は、私にとって可愛い弟でした。殿下がお嫌でなかったら、姉と呼んでくださいな」

「お義姉様……!」

「それなら俺は義兄だな」

 感極まった様子のシェルトの頭に、ルーカスもまた手を置いた。

「お義兄様!」

 しっかりしているように思えるのだが、シェルトは時に子供らしい表情を見せることがある。もう十五歳。この国では立派に成人している年齢になったというのに。

「兄が増えるのは嬉しいです」

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