お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 ――そう思っていたのに。

 現実は、オリヴィアが思っていなかった方向へと進むものらしい。

 ルークに付き合ってもらって、今日学んだことのおさらいをしていたら、急ぎの使者がやってきた。ルークから事情を聴いたオリヴィアは、眉を吊り上げる。

「グレゴールが脱走したですって?」

「ああ、離宮は厳重に警戒していたはずなのだがな――なにが気に入らなかったんだか」

「やっぱり、アントンに任せるのは早かったかしら。シェルト陛下には、もっと経験を積んだ側近を何人もつけた方がよかった?」

 弟はよくやってくれるとは思うけれど、やはりまだ早かっただろうか。グレゴールを逃がしてしまうだなんて。

「いや、ダンメルス侯爵もいるんだ。侯爵の手が回っていなかったということだろう」

 あの国は、ダンメルス侯爵に頼りきりである。それを改善しようとしていたはずなのだけれど、手が届かない部分はどうしたって出てくる。

 ダンメルス侯爵の腕だって、政すべてを抱え込めるほどは長くないだろう。

「それに、アントンはまだ修行中だろう? 彼に責任を負わせるのは違う」

「それは、わかっているのだけれど」

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