お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 手際よく縄をかけ終えたルークが立ち上がる。その縄はどこから持って来たのか気になるが、聞かない方がよさそうだ。

「なあ、グレゴール。王ではなくなったにしても、シェルトの庇護のもと穏やかに暮らすことができるんだ。それで十分ではないか?」

「う、うるさい! 俺は、王だ! それは今も変わらない! 俺の王座は、奪われたんだ。奪われたものを取り返してなにが悪い!」

「……それは、自業自得というものでしょう? あなたは、民を捨てたのだから。それに、私だって、最初からあなたを王座から引き下ろそうとしていたわけではありませんからね」

 王だと主張するのであれば、オリヴィアを離宮に押し込めるべきではなかった。

オリヴィアは覚悟を決めてグレゴールに嫁いだのだし、最初から王としての役割を放棄していたのはグレゴール。

「オリヴィア、悪かった。戻ってきてくれ」

 まだそう続けるだけの元気があるというのは、逆に賞賛すべきなのかもしれない。その努力は、別の方向に向けるべきではあったが。

 今さら、オリヴィアの愛を願ったところでもう遅いのだ。
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