お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
エピローグ
扉の外で、行ったり来たりしている足音がする。鏡の前に立ったオリヴィアはくすりと笑って、ドレスの裾を直しているマリカを見下ろした。

「もういい?」

「よろしいですよ」

「だめです。オリヴィア様、髪飾りがずれていますっ」

 マリカの許可を得て歩き出そうとしたら、慌てた様子でエリサが声をかけてくる。

 ずれかけていた髪飾りをしっかりと留めてもらい、扉を開いてもらった。

「私、ずいぶん待たせてしまった?」

「別に、待ってない。ちょうどよかった」

 首を傾げながら見上げれば、ルークは照れたように顔をそむけた。耳が赤くなっている。

 先ほどから行ったり来たりしていたのは、扉越しに聞こえていたのだけれど……。昨夜しっかりと神殿で祈りをささげてきたオリヴィアは、今日は朝から侍女姉妹によって磨き上げられていた。

(……ここは、追求しない方がいいのでしょうね)

 オリヴィアの支度が整うのを待ちきれなかったというのであれば、微笑ましいではないか。

「……とても、綺麗だ」

「あなたが選んだドレスですもの。最高に、私に似合うに決まっているでしょう?」

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