お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「オリヴィアをひとりで行かせるわけにはいかない。俺は、できる限りのことをするだけだ」

 使役魔術を使える魔術師は、イリアーヌ王国の方が多い。

 使い魔ならば、王宮にこっそり送り込むことができる。オリヴィアが助けを必要とした時、いつでも手を差し伸べられるよう、使い魔と契約することを決めた。

「お前な、使役魔術がどれだけ高度な術なのかわかってるのか?」

 エーリッヒは、あきれた表情になった。

 使役魔術は、自分と契約した使い魔とを結びつける魔術だ。簡単な命令を聞かせることから、使い魔と完全に意識を同調するところまで難易度には様々なものがあるが、契約するというだけでかなり高度な魔術となる。

 最初にエーリッヒのところに来たのは、彼が優秀な使役魔術師だからである。彼の知り合いならば、きっと教師役に適した者もいるはずだ。

「わかっている。でも、他に方法がないだろう。使い魔とまずは契約し、オリヴィアといつでも手紙のやり取りができるようにする」

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