お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「お前だって知ってるだろ? 俺達は王家に準じる扱いを受けてきたんだ。だからこそ、この地を守るために多額の予算が組まれている」

 エーリッヒの言うこともわかっている。

 現在のイリアーヌ王国には女性の王族で独身の者はいない。政略結婚の駒にするならば、王妹の娘であるオリヴィアしか今は適任者がいないのだ。

 頭ではわかっていても、心がついてくるかどうかは別問題だ。オリヴィアから返された指輪を強く握りしめる。

 オリヴィアが行く国は、平和な国ではない。国王も、有力貴族達の後ろ盾があって、ようやく即位できたような状況だ。

 なにしろ、グレゴールはまだ十五歳。オリヴィアと同じ年なのだ。イリアーヌ王国の基準では成人していないが、ストラナ王国では成人。成人した以上、早めに結婚しろということなのだろう。

(オリヴィアは指輪を返してきたが――)

 返された指輪は、今は鎖を通して首から提げている。服の上から触れたら、少し落ち着きを取り戻した。

「エーリッヒ、使役魔術の手ほどきをしてくれる魔術師を知らないか?」

「お前、なにを考えている?」

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