何度だって君を見つける

8月~律side~

8月になり更に暑さに拍車がかかる。うだるような暑さの中思い出すのは決まってあの人のこと。来週会いに行くときは何を持って行こうかなんて考えている。友人や家族は俺が前に進むことを望んでいるみたいだけど、どうしてもまだそんな気持ちにはなれない。あの人を失った悲しみや絶望、一緒に笑い会った楽しい日々がもう手の届かないところへ行っていつか自分の記憶からも薄れていってしまうのではないかと思ってしまう。
こんな姿をあの人に見られたら、あの日のように困った顔で「大丈夫?」と言わせてしまうに違いない。大丈夫はあの人にとって呪いのような言葉だった。


< 7 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop