27番目の婚約者
「私で良いんですか?」
「アリシアが良いんだ。辺境地から首都へ足を運んでいたのは、本当はアリシアに会うためだった。年が離れすぎている男に言い寄られてさぞかし不快だろうが、一度考えてくれないか?」
自信なさげに眉を下げるジェラール。
物憂げなその表情ですらアリシアの胸をときめかせるには充分で。
それに加えて求婚されたのでアリシアの胸は大きく脈打っていた。もしかしたら心臓の音がジェラールまで届いてしまっているかもしれない。
「いいえ。そんなことありません。ジェラール様はとても素敵で小さい頃からずっと憧れていた、殿方です……から」
自分が告白していることに気づいてアリシアは顔を真っ赤にする。
そんなアリシアが愛おしくてたまらないと甘やかな声で囁くジェラールに、アリシアはすっかりのぼせ上がってしまった。