くちづけ 〜You look good wearing my future〜

「唯って、キスしたことあるの？」

あまりにストレートな質問にギョッとする。

「えっと…倫也こそどうなわけ？」

不都合な質問には、質問で返すに限る。

「ないよ」

サラリと言われ、密かに安堵してしまった。

倫也が私を置いて、どんどん大人になってしまうのは、つらいから。

「それで、唯は？」

「ない…」

「それだと、いきなり撮影って言われた時、出来るかなぁ？」

そんなこと知ったこっちゃない…と言いたいところだが、もしも上手く出来なければ、あいつらの思う壺かもしれない。

何故、あそこまで私たちに拘るのかも、よくわからないが、面白がられているのは確実だろう。