くちづけ 〜You look good wearing my future〜
「まぁ…そんなの、小さい頃の話だもんね」

そう言って笑う倫也が、少しだけ淋しげに見えたのは、自惚れだろうか。

課題が終わった頃、

「月曜の放課後、また撮影だね」

のんびりと倫也が言う。

「次は、どこからだっけ?」

私が呟くと、倫也はシナリオを捲りながら、

「僕一人のシーンは、もうこの前、全部撮り終えたから、朝、仲直りするところと、あとは…あぁ、ついにキスシーンか」

その言葉に、急に緊張が走る。
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