くちづけ 〜You look good wearing my future〜
「じゃあ、まず最初に“ドカベン”とかいうの、やってみる?」

「ドカベン…?」

私の頭の中を、クエスチョンマークが泳ぎ始めたところ、

「ほら、よくあるじゃん。唯は壁側に立って…」

「ああ、“壁ドン”のこと?」

「そうそう!壁ドンだね。あはは」

あはは、じゃないよ!と内心突っ込みつつも、確かにマサミらが望みそうなシチュエーションだとも思う。

倫也は、少し重い椅子をドアの前に動かした。

「何してんの…?」

「もしも、また母さんが来たりしたら…ねぇ?」

倫也も、やはり親の目は気になるらしい。
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