龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?



「また、妃殿下がそちらにいらしてたんですの?」

自主練の飛竜訓練に少し遅刻してしまい、リリアナさんに事情を説明すれば…彼女は憤慨してしまった。

「王太子妃という立場にありながら、いくら幼なじみとはいえ独身の殿方を頻繁に訪問するなど、はしたなすぎますわ!」
「そうですわ。メローネ妃殿下は軽率過ぎますわね。不埒ですわ」

とは、マリナ伯爵令嬢の言。

「お相手のご予定を考慮なさらないのも感心いたしませんわ。正直あまり関わりたくございませんわね」
と、カリン子爵令嬢。

将来竜騎士と女侯爵、女伯爵、女子爵になることが決まった彼女たちに、メローネさんはいたく不評だった。

「ま、まぁ…ヴァイスさんが今日ビシッと“アリシアは忙しい。子どもに我慢を憶えさせなさい”と言ってくださったから」

あたしが皆を諌めるためにヴァイスさんの発言を教えれば、なぜか貴族令嬢3人に取り囲まれる。

「ヴァイス殿下、やっぱり素敵ですわ…」
「殿下はアリシアさんを本当に愛してらっしゃるのですわね」

うっとりした顔でおっしゃってますが…。何やら聞き捨てならない事を言われたような気がする。

「い、いや……別にヴァイスさんはあたしにそんな事はないよ」

ぶんぶんと両手を顔の前で否定してみたけど、3人はまったく聴いちゃくれやしない。

「では、来月の社交シーズンの始まり……正式な社交デビューの場であるオーパン・バルでのデビュタントダンスは、当然ヴァイス殿下と練習なさっておられますわよね?」

カリン子爵令嬢にそう訊かれて、はて?と首を傾げた。

< 166 / 267 >

この作品をシェア

pagetop