龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

さらに、竜騎士となるには古の森にいる古代竜に認められねばならない。
これはドラゴンと契約するより難しいと言われる。
多い年だと半分以上の候補生が古代竜に認められず、竜騎士になるのを諦めたという事もあったらしい。

(ハワードあたりが危ないかもしれないな)

オーパン・バルでの一件以来、ハワードはあたしに近づかなくなった。まぁ、鬱陶しく絡んでくるのが無くなりよかったし、あたしもバルコニーから突き落とされたという事実を許すつもりはない。

ヴァイスさんにはあたしをバルコニーから突き落とした犯人を訊かれたものの、自分でドジッて落ちたことにしておいた。ハワードを庇うつもりはないけど、たぶん真実を知ればやつは終わる。下手したら実家ごと終わる。竜騎士の父親にまで影響でるだろうから、あえて口をつぐんだ。ただでさえドラゴンが減っている竜騎士団の戦力をこれ以上低下させたくはない。


ちなみにバイキングでの戦いで大怪我されたクロップス卿は、やはり復帰が難しいほどの負傷。今は療養中でいらっしゃるけど、近々引退か…とも言われてる。
そのせいか、娘のリリアナさんはより張り切って飛竜訓練で練習されていた。

きっと、クロップス家の跡継ぎとなる時期が近づいているからだろう。竜騎士の家系は当主が竜騎士を引退すると当主も引退という場合が多く、跡継ぎが竜騎士であればそのまま家督を継ぐからだ。

ザラードもだいぶ飛竜に乗れるようになったし、カリンさんやマリナさんも飛竜技術に問題ないレベルまできた。

みんな、今日のために弛みない努力をしてきたんだ。

通常半年かかる飛竜訓練を、たった2ヶ月でこなしてみせたんだ。

これは、いい自信になると思う。

あとは、皆がどれだけ自分に合ったドラゴンと出会い心を通わせられるか…それにかかってくる。

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