龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

そう。
ザラードが言ったとおりに、あたしはバーミリオンと古の森で騎竜の契約をするつもりだ。

確かに、あたしとバーミリオンはお互いに騎竜になる意思確認はできてる。

けど…それだけじゃいけない。
バーミリオンはずっとあたしの騎竜になりたかったけど、あたしは気付けなかった。気付いてあげられなかった。
バーミリオンがウゴルでファイアドレイクになる、とわかった時に…ぽつりとこぼした“これでオレ様もアリシアの騎竜になれるよな”という言葉。

言わなきゃわからない、というのは完全に自己都合の傲慢だ。

あれだけ間近にいながら、完全にコミニュケーション不足。一番近いドラゴンだったのに、心中を察せなかった。それでなにが竜騎士を目指す…だ!

それで、あたしは自分が許せなかった。

バーミリオンにそう話せば、“相変わらずめんどくせえヤツだな”と呆れられたけど。

“たしかに、オレ様もモヤモヤしてた。アリシアが竜騎士竜騎士言う度に…な。他のドラゴンが騎竜前提で話すモンだから、疎外感ハンパなかったぜ”…と。
ようやく、バーミリオンの本音を知ることができた。

ならば、あたしは一も二もなく臥龍の儀でバーミリオンと対峙し、自分自身が彼に相応しいのかを問いただす。

バーミリオンは今や全長5mほどの1人前のファイアドレイクに進化した。騎竜を狙う人には魅力的なドラゴンだ。

もちろん、バーミリオンにも選択の自由はある。
あたし以外をマスターにすることも可能だ。

それがバーミリオンの本音ならば、あたしは止めないけど。

(待ってて…バーミリオン!あたしが行くからね)

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